
「何度言っても、同じことを繰り返す」
「急に癇癪を起こして、手がつけられない」
「約束したのに、また守れなかった」
毎日そんな場面が続くと、「どうしてこの子は言うことを聞いてくれないんだろう」と、つい気持ちが折れそうになりますよね。子育てを一生懸命がんばっている親御さんほど、そう感じてしまうものです。
でも、ひとつだけ知っておいてほしいことがあります。子どもの「困った行動」には、その子なりの理由が必ず隠れている、ということです。
今日は、その「理由」に目を向けると子育てがどう変わっていくのかを、一緒に見ていきたいと思います。
「困った子」ではなく「困っている子」として見る
大人から見ると「わがまま」「反抗的」「やる気がない」と映る行動も、子どもの側に立ってみると景色が変わります。
たとえば、指示を聞かないように見える子は、言葉だけでは内容をイメージしにくかったのかもしれません。急に泣き出す子は、この後どうなるのか分からず不安でいっぱいだったのかもしれません。順番を待てない子は、待つあいだ気持ちをどう保てばいいのか、まだ分からないのかもしれません。
つまり、多くの子どもは「親を困らせよう」として困った行動をしているわけではありません。本人も、どうすればいいか分からずに困っているのです。
「困った子」を「困っている子」として見る。この視点の切り替えが、関わり方を変える最初の一歩になります。
行動の「氷山モデル」で考える

支援の現場では、子どもの行動を「氷山」にたとえて考えることがあります。
海の上に見えている氷山の一角が、私たちが目にする「困った行動」です。でも、その下の海面下には、目には見えない大きな部分が隠れています。それが行動の「背景」です。
たとえば「教室から飛び出してしまう」という行動の海面下には、教室の音や光が刺激として強すぎてつらかった(感覚過敏)、何をすればいいか分からず不安になった、課題が難しすぎて「できない」ことから逃げたくなった、前の時間の嫌なことを引きずっていた……といったものが隠れていることがあります。
見えている行動そのものを止めようと叱っても、海面下の理由が変わらなければ、行動はまた繰り返されます。逆に、背景にある理由に手を当てれば、行動は自然とやわらいでいきます。
「行動には目的がある」という視点
もう少し専門的な話をすると、応用行動分析(ABA)という考え方では、子どもの行動には必ず何らかの「目的(機能)」があると捉えます。よくあるのは、かまってほしい・見ていてほしいという「注目を得たい」、欲しいものややりたいことがあるという「要求を通したい」、苦手な課題や場面から離れたいという「避けたい・逃げたい」、その動きや刺激そのものが心地よいという「感覚を得たい」といったものです。
同じ「大声を出す」という行動でも、その目的は子どもによって、場面によって違います。「どうしてこの行動をするんだろう」ではなく、「この行動で、この子は何を伝えようとしているんだろう」と考えると、対応のヒントが見えてきます。
たとえば、注目を得たくて困った行動をしている場合は、その行動を叱る(=注目を与える)よりも、望ましい行動をしたときにこそしっかり関わってあげる方が、ずっと効果的なことがあります。
理由が分かると、叱る以外の道が見える
行動の理由が見えてくると、対応の選択肢がぐっと増えます。言葉だけで伝わりにくい子には、絵や写真、身振りを添えて伝える。見通しが立たず不安になる子には、この後の予定を前もって示してあげる。課題が難しくて逃げたくなる子には、量を減らしたり、できるところまで小さく分けてあげる。刺激が多くて疲れやすい子には、静かに落ち着ける場所を用意してあげる。
大切なのは、子どもを無理やり変えようとするのではなく、まず「伝え方」と「環境」を少し整えてあげることです。これは決して甘やかしではありません。その子が自分の力を発揮できるように、必要な足場をつくってあげることなのです。
それでも、うまくいかない日はあります
とはいえ、理由が分かっても、毎回うまく対応できるわけではありません。つい大きな声を出してしまって、あとで落ち込む日もあると思います。
でも、それでいいのです。理由を探そうとしながらお子さんと向き合ってきたこと自体が、もうすでに立派な支援です。うまくいかない日があっても、あなたがお子さんを大切に思う気持ちは、少しも揺らぎません。
一人で抱え込まず、専門機関や地域の相談窓口、保護者向けの学びの場も上手に頼りながら、少しずつ進んでいけば大丈夫ですよ。
まとめ
子どもの「困った行動」は、親を困らせるためのものではなく、その子なりの理由から生まれています。見えている行動の下には、感覚の特性や不安、「分からない」「できない」という思いが隠れています。
行動そのものを叱って止めようとする前に、「この子は何に困っているんだろう」「どう伝えれば分かりやすいだろう」と考えてみる。その視点があると、叱る以外の関わり方が見えてきて、親子の毎日は少しずつラクになっていきます。
NaviPa®️では、発達特性のある子どもへの具体的な関わり方と、子育てをする保護者自身の心の整え方の両方をお伝えしています。子どもだけを変えようとするのではなく、親子が少しずつ安心して過ごせる方法を、一緒に考えていきましょう。
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AUTHOR
NaviPa編集部
発達凸凹の子・家族・支援者を支える3者統合のコミュニティ「NaviPa」の編集部です。



