
「何度言っても、同じことを繰り返す」
「集団行動が苦手で、周りから注意されることが多い」
「できることと、できないことの差が大きい」
子どものこうした様子を見て、
「育て方が悪かったのかな」
「もっと厳しく教えた方がいいのかな」
と悩んでいる保護者の方も少なくありません。
しかし、子どもの行動には、その子なりの理由があります。
発達障害(神経発達症)について正しく知ることは、子どもを診断名で決めつけるためではありません。これは脳の機能の「凸凹(でこぼこ)」です。 「左利き」や「慎重な性格」と同じような、その子が生まれ持った個性のグラデーションの一つ。決して「悪いこと」でも「治さなきゃいけないこと」でもありません。
その子がどのように感じ、どこで困り、どのような手助けを必要としているのかを理解するための第一歩です。
発達障害(神経発達症)とは
発達障害は、脳の働き方の違いによって、物事の捉え方や行動のパターンに特徴があり、日常生活の中で困難が生じている状態を指します。
本人の努力不足や、親のしつけが原因で起こるものではありません。
同じ診断名であっても、特性の現れ方は一人ひとり異なります。
年齢や発達段階、生活する環境によっても、困りごとの現れ方は変わります。また、複数の発達特性が重なっていることもあります。
そのため、
「ASDだから、こういう子」
「ADHDなら、必ずこうなる」
と単純に決めることはできません。
大切なのは、診断名だけを見るのではなく、目の前の子どもの得意なこと、苦手なこと、困っている場面を具体的に見ることです。
主な発達障害の種類
発達障害にはさまざまな種類があります。ここでは、子どもの発達について語られることの多い、代表的な三つを紹介します。

1.自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症には、主に次のような特徴があります。
- 言葉や表情、身振りなどを使ったやり取りが難しい
- 相手の気持ちや、その場の暗黙のルールを読み取りにくい
- 特定の物事に強い興味やこだわりがある
- 予定の変更や、見通しの立たない状況が苦手
- 音、光、匂い、触感などに過敏さや鈍感さがある
ただし、すべての特徴が、すべての子どもに当てはまるわけではありません。
例えば、急な予定変更で泣いたり怒ったりする子どもは、わがままを言っているのではなく、「この後どうなるのか分からない」という不安を感じている可能性があります。
予定を事前に伝える、絵や写真で見通しを示すなど、分かりやすい方法に変えることで、安心して行動できる場合があります。
2.注意欠如・多動症(ADHD)
注意欠如・多動症では、主に次のような特徴が見られます。
- 忘れ物やなくし物が多い
- 注意を持続することが難しい
- 周囲の刺激に気を取られやすい
- じっとしていることが難しい
- 思いついたことを、すぐに行動に移す
- 順番を待つことや、気持ちを切り替えることが難しい
これらは、単なる「やる気のなさ」や「落ち着きのなさ」だけで説明できるものではありません。
伝える内容を短くする、やることを一つずつ示す、気が散りにくい環境をつくるなど、その子が行動しやすい方法を考えることが大切です。
3.限局性学習症(SLD・学習障害)
限局性学習症とは、全体的な知的発達に大きな遅れがない一方で、
- 文字を読む
- 文章を書く
- 文字の形を覚える
- 数を理解する
- 計算する
など、特定の学習領域に強い難しさがある状態です。
「話を聞けば理解できるのに、文章を読むと分からない」
「答えは分かっているのに、文字で書くことが難しい」
ということもあります。
努力していないからできないのではありません。音声教材やタブレットを利用する、文字を大きくする、課題の量を調整するなど、得意な方法を使って学べる環境を整えることが重要です。
発達特性は、単独で現れるとは限りません
発達障害の特性は、きれいに一つだけに分かれるとは限りません。
例えば、
- ASDとADHDの両方の特徴がある
- 読み書きの難しさに加えて、注意の続きにくさがある
- 感覚過敏が強く、集団生活で疲れやすい
といったことがあります。
同じ子どもでも、家庭では落ち着いているのに学校では困りごとが増えることや、成長に伴って困る場面が変わることもあります。
「家ではできるのだから、学校でもできるはず」とは限りません。
環境、課題の難しさ、周囲の人の伝え方、疲労や不安などによって、子どもが発揮できる力は変わります。
親子で笑顔で過ごすために
「どう関わったらいいか分からない」
「つい感情的に怒ってしまって落ち込む」
そうやって試行錯誤しながらお子さんと向き合ってきたこと自体が、何より尊い支援の証です。
一人で抱え込む必要はありません。専門機関や地域の支援窓口、そして保護者向けの教育プログラム(親トレなど)を活用しながら、親御さん自身も心を整え、学びを深めていくことができます。
子どもを無理やり型にはめるのではなく、関わり方と環境を少し整えてあげること。
それだけで、お子さんの表情は柔らかくなり、親子の毎日は確実にラクに、そして希望に満ちたものへと変わっていきますよ。
「困った子」ではなく、「困っている子」として見る
子どもの行動だけを見ると、
- 「言うことを聞かない」
- 「わがまま」
- 「やる気がない」
- 「すぐ怒る」
と感じることがあります。
しかし、行動の背景を見ていくと、
- 言葉だけでは理解しにくかった
- 何をすればよいか分からなかった
- 刺激が多すぎて集中できなかった
- 失敗するのが怖かった
- うまく気持ちを伝えられなかった
- 予定の変更に対応できなかった
という理由が隠れていることがあります。
子どもは、親を困らせるために困った行動をしているとは限りません。
本人も、どうすればよいか分からず困っているのかもしれません。
行動をすぐに叱って止めようとする前に、
「この子は、何に困っているのだろう」
「どう伝えれば分かりやすいだろう」
「環境を変えたら、行動しやすくならないだろうか」
と考えることが、支援の出発点になります。
診断がなければ、支援してはいけないの?
診断がなくても、その子が困っているのであれば、家庭や学校でできる工夫を始めることはできます。
例えば、
- 予定を見える形で伝える
- 指示を短く具体的にする
- 一度に伝える内容を減らす
- 刺激の少ない場所を用意する
- 苦手な方法だけを無理に繰り返さない
といった工夫です。
ただし、発達障害かどうかを、保護者や支援者が自己判断することはできません。
生活上の困難が大きい場合や、子ども本人が強く苦しんでいる場合は、小児科、児童精神科、発達外来、自治体の発達相談窓口など、専門機関への相談も検討してください。
診断をつけることだけが目的ではありません。
子どもの状態を整理し、必要な支援につなげるための相談です。
子どもを変える前に、関わり方と環境を見直す
発達特性そのものを、叱ることでなくすことはできません。
けれども、周囲の伝え方や環境が変わることで、子どもの困りごとが小さくなることはあります。
できないことを何度も注意するよりも、
- できる形に分ける
- 分かる方法で伝える
- できた瞬間を認める
- 失敗しにくい環境をつくる
ことが、子どもの成長につながります。
そして、これは子どもを甘やかすことではありません。
その子が自分の力を使えるように、必要な足場をつくることです。
まとめ
発達障害は、親の育て方や本人の努力不足が原因ではありません。
同じ診断名でも、特性や困りごとは一人ひとり異なります。
大切なのは、診断名だけで子どもを見るのではなく、
- 「何ができないか」だけでなく、
- 「どこで困っているのか」
- 「どのような方法なら分かるのか」
- 「どんな環境なら力を発揮できるのか」
を見つけていくことです。
子どもの行動には理由があります。
その理由が分かると、叱る以外の関わり方が見えてきます。
NaviPa®️では、発達特性のある子どもへの具体的な関わり方と、子育てをする保護者自身の心の整え方の両方をお伝えしています。
子どもだけを変えようとするのではなく、親子が少しずつ安心して過ごせる方法を、一緒に考えていきましょう。
支援プログラムのご案内
NaviPa®️では、発達の凸凹や遅れのあるお子さんを支える保護者の方向けに、家庭での科学的な関わり方や親自身の感情コントロールを体系的に学べる「親トレぷろぐらむ」を提供しております。
動画での学習とワークショップ、月1回のグループ質問会を通じて、基礎から実践まで一歩ずつステップアップしていただけます。
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AUTHOR
NaviPa編集部
発達凸凹の子・家族・支援者を支える3者統合のコミュニティ「NaviPa」の編集部です。


